「賃金を会社側の一方的な判断で引き下げること」は、労働条件の「不利益変更」にあたります。
労働条件は、従業員と会社(使用者)の双方の「合意」によって決まるのが原則です。
そして、変更にあたっても、労使の合意によってしか行うことはできません。
つまり、ひとたび労働条件を合意によって決定すれば、使用者といえども、従業員の意思に反して一方的に労働条件を変えることはできないのです。十分ご注意ください。
とはいえ、変更に合理性があれば、変更も認められます。裁判例で
は、
(1)不利益の程度、(2)労働条件の変更の必要性、(3)変更後の就業規則の内容の相当性、(4)従業員代表との交渉の状況、(5)その他の事情を総合的に判断するものとされています。
一般的には、会社の業績が悪化して経費の見直しが必要となり、人件費についても見直さざるを得ない場合が考えられます。
ですので実務的には、まず従業員との間で話し合いを行い、どうしても話し合いで解決できない場合であっても、一方的な不利益変更は、慎重に進めていかなければなりません。